美容室の独立開業に居抜き物件は向いてる?向いてない?

美容師として腕が上がってくると、このまま美容室でスタッフとして勤務するのではなく、「いずれは自分のお店を持ちたい」という目標が出てくることも少なくないと思います。

独立して美容室を開業するとなると、はじめの一歩は開業する地域を選び、店舗用の物件を探すことです。

今回は、美容室用の物件を探すにあたり知っておくべき、「居抜き物件」のメリット・デメリットや注意するポイントなどについてお伝えします。

また、「スケルトン物件」との違いについてもご説明します。

居抜き物件とは

「居抜き」とは、美容室や飲食店などのサービス業用の店舗や工場などの物件のうち、以前の店舗が使用していた設備や家具などを残したまま、店舗を譲渡したり賃貸することを指します。

レストランなどの飲食店の場合は、キッチンや調理用の設備、テーブルや椅子などの家具、壁などの内装や装飾などを残すことが考えられます。

美容室においては、シャンプー台やセット面、壁や天井などの内装、椅子などが考えられます。

「居抜き物件」とは、簡単に言うと店舗を運営するために必要な設備が残っている物件です。

スケルトン物件とは

居抜き物件と対照的なのが「スケルトン物件」です。

「スケルトン」という言葉から連想できるように、「スケルトン物件」は設備や内装などが一切取り払われ、コンクリートがむき出しのまっさらな状態の物件です。

「スケルトン物件」は「居抜き物件」と異なり、何もない状態からお店作りができます。

そのため、自由度が高く、自分が作りたいデザインのお店を作れます。

ただし、排水管の場所など、変えられないインフラ設備などもありますので、その点は注意が必要です。

美容室では、排水管の場所はシャンプー台の位置にも影響します。

具体的な店舗イメージがすでに決まっている場合は、インフラ設備による店舗デザインへの制約があるかどうか、あらかじめ契約を仲介する会社に確認しておく必要があります。

美容室開業に居抜き物件は向いているのか?

それでは、美容室を開業するにあたり、居抜き物件は向いているのでしょうか?

居抜き物件のメリットとデメリットについて考えていきましょう。

居抜き物件のメリット

居抜き物件のメリットとして、以下の2つが挙げられます。

(1)初期投資が少なくて済む

居抜き物件は、美容室に必要な設備が残っているので、スケルトン物件と比べて、新たに用意する設備が少なくて済みます。

そのため、スケルトン物件と比較すると、美容室を開業するために必要な初期投資が少なく済みます。

(2)開業するまでの時間を短縮できる

美容室を開業するために全ての設備を一から揃えるとなると、様々な業者との取引や打ち合わせが発生します。

什器メーカー、内装会社など、複数の専門業者とスケジュールを合わせて打ち合わせを重ねるのは、相当な時間を要します。

一方で、居抜き物件の場合は設備が残されているので、スケルトン物件と比較すると取引や打ち合わせなどの時間を短縮することができます。

店舗内を工事している期間も店舗の賃料が発生するので、開業までの時間を短縮することはランニングコストをカットすることにつながります。

美容室を早くオープンさせたい人にとって、居抜き物件は向いているといえます。

居抜き物件のデメリット

一方、居抜き物件のデメリットとして、以下の2つが挙げられます。

(1)自由度が低い

居抜き物件は設備が残されているため、まっさらな状態からの店舗づくりができません。

そのため、スケルトン物件と比べると自由度が低くなってしまいます。

既に美容室の店舗デザインのイメージがある場合、イメージに合う居抜き物件を見つけ出すのはあまり現実的ではありません。そういった場合はスケルトン物件を探すことをおすすめします。

(2)解体・廃棄・造作工事などの費用が発生する場合がある

居抜き物件で残された設備を全てそのまま使うことができればよいのですが、設備の一部が古く、新たに準備する必要がある場合や、設備がイメージと合わない場合などは、既存の設備を解体・廃棄する必要があります。

解体・廃棄の費用は想定以上にかかってしまうケースもありますし、時間も要します。

残っている設備がそのまま活用できるのかどうかは、早い段階で確認しておく必要があります。

なぜ居抜き物件が存在するのか?

ここまで、居抜き物件とスケルトン物件の違いやメリット・デメリットについて説明してきました。

では、そもそもなぜ居抜き物件は存在するのでしょうか。

事業拡大による退去

ひとつは事業拡大による退去です。

美容室として成功し、新規や固定客の人数も安定していて、スタッフも増やして美容室の事業を拡大させたいときに、現在の美容室の広さでは足りなくなってくることがあります。

また、美容室の場所をもっと便利な場所に移動したいというケースもあると思います。

その場合、現在の美容室店舗を売却・あるいは賃貸契約を解約して、より広い・便利な場所に美容室店舗を出すこともあります。

撤退した店舗で使用していた設備を残した場合、居抜き物件となります。

経営不振による退去

一方で、美容室の経営不振による退去もあります。

2019年10月の厚生労働省の発表によると、平成30年度末時点で美容室は全国に25万1,140件あります。

平成29年度と比べると、1.4%増(3,562件増)、直近の5年間で見ると13,615件も増えているのです。

美容室の数はどんどん増えていることが分かります。

そのため、美容室業界は競争が激しく、経営不振による規模の縮小や撤退、倒産する美容室も急増しています。

東京商工リサーチがまとめた2019年の「理容業・美容業倒産動向」調査によると、美容室の倒産件数は119件に達しました。

これは、1989年以降の30年間で最多となります。

倒産までいかなくても、規模の縮小や撤退を余儀なくされた美容室を含めると、その数はより多くなります。

倒産、あるいは経営不振による規模縮小や撤退により、残念ながら美容室店舗を退去せざるをえなかったとき、居抜き物件となるケースがあります。

(参考:厚生労働省「平成30年度衛生行政報告例の概況」)

美容師が注意すべき居抜き物件とは?

美容室用の居抜き物件を探す際、どのような点に気を付ければよいのでしょうか。

主な注意点を2点ご紹介します。

(1)前のテナントが退去した理由を確認する

以前、テナントとして入っていた美容室が退去した理由は必ず確認しましょう。

前項で、居抜き物件が存在する理由として、事業拡大による退去と経営不振による退去の2つがあるとお伝えしました。

注意すべきなのは経営不振による退去です。

経営不振になる要因としては様々なことが考えられますが、特に注意すべきなのは、前のお店が悪いイメージを持たれていないかどうか、という点です。

「サービスが悪い」「技術が下手」など、前のお店に悪いイメージがついている場合、同じ場所で事業を行うにあたって、その悪いイメージを払拭するための多大な努力と、膨大な広告費がかかってしまうこともあります。

また、立地的に集客困難だったことが原因で、前の店が経営不振に陥った可能性もあります。

こういった場合は、物件が安いからといって飛びついてしまうのは危険です。

経営不振の原因としてはその他にも、周囲の環境による外部要因もありえます。

テナントを探す際に、テナント内の様子だけではなく、周囲の状況もよく見てみましょう。

前述したように日本国内には美容室が数多くあり、エリアによっては美容室密集地帯も存在します。

競争に負けないためには確かな技術力と価格設定が必要ですが、地域との相性などもあるので、自身の開業に適した立地かどうかをしっかり見極めましょう。

立地の見極めには、自身が地域について十分に理解している必要があります。

そのため、自身が全く知らない土地よりも、できれば住んだことのあるエリア、働いたことがあるエリアなど、自分がよくわかっている場所で物件を探すほうがよいでしょう。

(2)そのまま使用できる設備と管理の所在の確認

居抜き物件のメリットは、前のテナントが使用していた設備をそのまま利用できることです。

居抜き物件を内覧すると、様々な設備が残されていると思いますが、その設備が全て利用できるのか、事前に確認しましょう。

もしかしたら、内覧後に撤去する予定の設備も含まれているかもしれません。

居抜き物件を契約してから、利用する予定だった設備を撤去することが発覚すると、思わぬ出費に繋がります。

また、残された設備に故障などの不備がないかも確認しておきましょう。

さらに、居抜き物件の賃貸契約をした後に、残された設備が故障した場合、誰が修理代などを出費するのかを確認しましょう。

例えば、エアコンなどの空調設備に不具合が生じた場合、居抜き物件のオーナーが修理代を負担するのか、美容室が修理代を負担するのかを明確にしておくことで、トラブルを回避することができます。

とはいえ、居抜きの場合は店舗内の各種設備も中古となるため、それらがオープン後に壊れてしまうことも多々あります。

前述のエアコンだけでなく、ボイラー、シャンプー台などは、経年劣化など修理しても使用出来ない場合もあり、新しく購入する事になります。特にオープン直後に故障してしまうと経営を圧迫してしまうため、運転資金には十分に余裕をもっておくとよいでしょう。

美容室向けの居抜き物件を探すには?

美容室向けの居抜き物件を探すには、どのような方法があるのでしょうか。

基本的には住居を探す場合と同じように、専門サイトや地域の不動産会社に行く方法があります。

サロン向けサイトで探す

手軽に探せるのは、サロン向けサイトです。

サロン向けサイトとは、出店予定者・退店予定者・不動産とを繋ぐ、サロン物件探しに特化した情報サイトです。

インターネット環境さえあれば、自宅や職場にいながら美容室用の居抜き物件を検索することができます。

エリアや駅からの距離、広さ、賃料などを指定して検索することもできるので、ある程度希望が決まっている場合は、効率的に物件を探すことができます。

写真も数多く掲載されているため、実際にテナントを見に行く前にイメージを掴むことも可能です。 

地域の不動産会社へ行く

もう一つの方法としては、地域の不動産会社で居抜き物件を探すことです。

不動産会社は、大手企業から地域密着型の昔ながらの不動産屋さんまでたくさんあります。

地域密着型の不動産仲介会社であれば、テナントだけでなく、地域性についても教えてもらうことができます。

また、不動産会社によって強い分野・弱い分野は違います。

不動産は主に、テナント・商業用店舗・オフィス・住居用が存在します。そのため、テナント・商業用の分野に強い不動産仲介会社を選びましょう。

ただし、不動産仲介会社を通してテナントを探す際の注意点もあります。

宅地建物取引業者として登録していて、所定の行政の届け出を出せば、誰でも不動産仲介業はできます。

仲介手数料目当てのところもあるので、信頼できる不動産仲介会社かどうか、訪問前に見極めておくことも重要です。

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山本 国男|美容業界|920.Yamamoto

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